2006年08月16日

ミチクサ対談
芸術家 森本太郎氏×モノラバ もの

舞良戸にどどんと「ミチクサ」という題の
絵を描いてくださった現代アート作家、森本太郎先生。
クオリティーの高さ、それを産み出す集中力に驚いて、
普段はとても穏やかな森本先生のどこに
こんな素敵なモノを作り出すパワーがあるのか、
作品を作り上げる源は何であるのか、とても興味を覚えました。
そこで。
対談、対談!!

いやあ〜、やっぱりね。
うんうん。
イロイロ考えていらっしゃるなあ。
そうでなきゃ、素晴らしい作品なんて産み出せないんだよねえ。
秀でたモノは思索することにより作られるのだよねえ。
わたしも頑張ろうっ。。。
けど、、、どうかしら。
せめて気持ちだけでもっ。
うーん。

兎に角。
対談、対談!
森本太郎の秘密が満載ですっ。


森本先生ペイント中


主な森本太郎情報↓
http://www.ayumi-g.com/archive/okamura/morimoto/morimoto.html
http://www.japandesign.ne.jp/GALLERY/NOW/morimototaro/
http://www.operacity.jp/ag/exh68.php



**ミチクサ対談**
芸術家 森本太郎氏×モノラバ もの


○もの
こんにちは。ミチクサ対談、宜しくお願いします。
気楽にやっていけたらと思います☆

●森本
こちらこそ、よろしくおねがいします。

○もの
まず手始めに。
小さい頃はどんなお子さんでしたか?

●森本
自然に恵まれていて、友達や兄弟と外で遊び回りながらも、
家ではいろいろ描いたり作っていたりするのが好きでした。
実家の壁には今でも落書きがいっぱい残っています(笑)。

○もの
あら、素敵。
是非いつまでも残しておいて欲しいなあ。
ゲージュツカになろうと考え始めたのはいつ頃からですか?

●森本
ゲージュツカかどうかは自分ではわからないけど、
美術でやっていこうと思ったのはここ何年かです。
制作を続けていく内に(ものさんはじめ)自分の作品を
必要としてくれる方々が現れてきたことも強く影響しています。
作品を通して他者との関係ができてくると、
おのずと自分が美術家になるのだなと思いました。

○もの
えー!?
“他者との関係で美術でやっていくのだと意識を強くした”
っていうのは意外な感じがします。
もっと自分の中に、確固たるものがあるのかと思っていました。
もしかして、前々から意識はしていたけど、応援してくれる人が出てきたり、
作品展での手応えとかで、その気持ちが確証に変わったって感じなのでしょうか?

●森本
そんなかんじです。認識してもらえるとその気になるんです。

○もの
なんだかのんびりしていて楽しいですね。
森本せんせいらしいです。
ところで。
造形大ご出身ということですが、
大学では何を専攻なさっていたのですか?
やはり油絵??

●森本
いいえ。大学ではデザイン学科でした。
専攻は、プロダクトデザインだったのです。
そのころはデザイナーになろうかとぼんやり思っていましたが、
今はご覧のとおりです。

○もの
デザイン学科!?プロダクトデザイン!?
そう言われてみれば、森本せんせいの作品って、デザインの要素が強いかも。。。
だから今までなかったような新しさを感じるのかもしれない。
・・・・・・って、他にも先生みたいな経歴の方いらっしゃるでしょうねえ。

●森本
もちろん知り合いには、デザイン学科を出て、作家活動している人がいます。

ちなみに作品制作に油絵の具を使っていますが、
習って描いたことはありません。

○もの
えっ!?オドロキですっ。
習ったことはないのに、なんで油絵でやってみようと考えたのですか?

●森本
いままで興味があったけど、油絵の具を使うきっかけがなかったんです。

○もの
美大に行っていたのに?

●森本
大学の授業がきっかけで、
太郎千恵蔵さんという美術作家と知り合ったことも大きな理由の一つです。
その頃考えていた自分のアイディアを
どうやって表現しようかと思っていたときに、
彼のオイルペインティングに影響をうけました。
とても古くからあるメディアが、自分にとって新しかったのです。
それまで、カラーコピー機を使って制作していたので。

○もの
カラーコピー機で制作ですかっ!?
表現って何を使っても良いんですね。
そして、太郎森本ならぬ、太郎千恵蔵さんとの出会い。
オイルペインティングが新しいというのも、また面白い感覚です。
何が新しくて古いのかって人によって随分と感じ方が違うものですね。

●森本
思い出したけど、子供のころにスイミングクラブの怖いコーチに
なぜか「油絵に興味あるか?こんど描きに行こう!」
といわれたまま実現しなかったことがありました。
研究所(美大の予備校)でデッサンなど描いていたころは、
絵画科のひとが使っている油絵のにおいとか、
使い終わった筆を石鹸で洗っているのを端からみながら、
「油絵は扱いにくそうだなあ」と思いつつ興味はあったのでした。

○もの
出会いって、後になってから気が付くことがありますね。
それで、油を使ってみて、如何ですか?

●森本
油絵の具の持っている質感が気に入っています。
制作には、すべて油で描いているのではくて、部分的に使っています。
アクリル絵の具にくらべて非常に乾きがおそいけど、
その特性を生かした使い方をしてみたいとおもっています。

○もの
沢山描くうちに、表現の巾がもっと広がりそうですね。
先生の作品と言えば、あのもりもりっと盛り上がった線が
大きな特徴と考えられると思うのですが、
あの線はどうやって作るんですか?

●森本
アクリル絵の具(メディウム類)を
製菓用の搾り袋に詰めて絞り出して描いています。

○もの
製菓用の搾り袋!
驚くことばっかりですよお。
あの線が生れ始めたのはいつ頃ですか?

●森本
2000年ごろからです。
ある夜、眠りがけにケーキ職人のことを考え思いつきました(笑)。

○もの
眠りがけにケーキ職人っ……。
どこでどんな発見があるか分かりませんね。
でもきっと、ずっと、何かないかと模索していらしたのでしょう。
でも、何で線が欲しかったのですか?

●森本
少し立体感があることで、絵の物質的な要素が感じられると思ったからです。

○もの
物質的な要素。。。
それを欲していたというのが興味深いです。
話を聞けば聞くほど、何で、何でって質問したくなります。
何で物質的な要素が必要だと思われていたのですか?

●森本
コンピューターで基になるイメージを描いているのですが、
たとえば、色と色の境界には線はないけれど、
選択した色面の輪郭は点滅しています。
そんな記号としての線をみていると、
境界線について意識するようになりました。

○もの
そう言われてみれば、コンピューター上で選んだ色なり線は、
他のエリアと分けるために点滅しています。
それを意識し、作品に投射したかった。。。
それがあることによって、
物質的要素が平面的な絵に表現できるのではないかと思った。。。
うーん。視点が面白いです。
その点滅している線を意識した時は、
物質的要素として表現できるものについて模索していらしたのでしょうか。
そこで、「あ、線みっけ!」みたいな。
「もしかして、コレ、いけるんじゃない?」
って感じで、こころに引っ掛かったんじゃないかしら。

●森本
そうですね。コンピューターをいじっていると発見があったんです。

コンピューター上では、
自動選択ツールでなかば偶然に選ばれた範囲のなかから、
偶然に選んだ一色でその範囲をペイントツールで塗りつぶす。
点滅する輪郭線の中に色を流し込むことを繰り返すうちに、
今度は実際に絵の具で描くとしたら、、、と考えていたときに
「ケーキ職人」のイメージと結びついた。
点滅する輪郭線が物質化するきっかけはこんなところです。

○もの
選択されているから点滅しているんだと
決められた約束事をそのまま納得するのではなく、
この点滅を現実に移し替えたい
と発想するところに芸術家気質を感じます。

●森本
いままでの物質的な作業がコンピューター化され、
物質から離れて抽象的、記号的になったけど、
今度はまたそこから物質化することで何ができるか?

○もの
大きな実験ですね。
変換を変換して、何が生れるのか。
一つの作品に、森本せんせいの知の探求が込められているのかと思うと、
だた綺麗とか、面白いだけで見るのは勿体なく感じます。

ところで。
作品を見ていると、先生の集中力は凄いなって思うのですけど、
制作する上で心がけていることは何かありますか。

●森本
「何かが起こることを強くは求めないで、期待しながらいること。」
制作中、コントロールしようとしてうまくいかなかったり、
ちょっとした失敗に感じられることにたいして、
なぜそれが良くないのかと考えてみると、
反対に自分のやりたかったことがわかってくることがあります。
また、そうしたことがきっかけとなり、
いままで意識しなかったような新しい感覚に
気づくこともあります(まれだけど)。

○もの
なるほどぉ。
気になる原因を探ってみると発見がある、、、かもしれない。
それが集中力というものに繋がるのですか。うーむ。
手を止めて考えてみた時に、
新しい感覚に気が付けたら嬉しいですね。

あのー。
先生の作品は色が綺麗だなあって思うのですが、
色味はどのように決めていらっしゃるのですか?
あまり作品の秘密を聞きすぎたらいけないかしら。

●森本
コンピューターに取り込んだイメージが持っている色のなかから決まります
(無数にある色の中からそのとき偶然選んだ色で出来ています)。

○もの
偶然ですかっ。

●森本
特にモノラバハウスの作品では、
部屋の印象や描いた舞良戸の色がイメージづくりの制約となりました。
はじめの段階で出来たイメージを大胆に色調を変化させてつくりました。

○もの
大胆に色調を変化させて。。。
聞いているだけでわくわくします。

●森本
ここのところ、いろいろと色調を変化させるようになってきました。
色相を動かしているうちに、はじめに出来てきたイメージに対して
より相応しいとおもえる色彩の状態が得られるようになってきました。

○もの
色相を動かして模索するというのが、コンピュータならではですね。

●森本
そこで問題になるのが、「なぜ、その色の状態なのか」ということなんだけど、
それを決める自分のその時の状態だったり、
制作上の制約だったり、理由はいろいろとあるけれど、
それはきっかけでしかないような気がしています。

○もの
きっかけでしかない・・・・・・。
でもその中で、コレだという色彩を得るわけですから、
偶然の産物とはいえ、言葉では表せない選択の基準というものが
森本せんせいの中にあるのでしょうね。
作品を見ていると、森本せんせいの色味というものがあるように感じます。

最後に聞きたいのですが。
あまり深く考えずに、3秒程度で思いついたままお答えくださいね。
先生にとって、
ゲージュツとは。

●森本
えーと、、、。(といいながら、2,3秒考える。)

むずかしいなあ...。
コミュニケーションのための表現でもあるもの
(コミュニケーションは自分自身も含めて)。

○もの
コミュニケーション。。。表現方法でもあるもの。。。
“でもあるもの”の部分に深い意味がありそうですね。

●森本
コミュニケーション下手な自分にとっては、
作品を制作するのがその手段であり、目的の一部だったりするのかな。

他者と交わることで自分が揺り動かされ、
そして何か共振するような部分が見つかるといいなあ...。

○もの
見つけてこれたからこそ、作品を作り続けてきたんじゃないかしら。

先生ご自身や身辺の変化と共に、これから作風も進化していきそうですね。
森本流はこれで決まりだと安心しないで、
何が生れるか分からない
という気持ちで応援していかないといけないなと感じます。

そういえば。
大変な情報を聞きました。
今年の秋に美術館で作品が展示されるとかっ。

●森本
はい。府中市美術館で行われる、
「第3回府中ビエンナーレ」に参加することになりました。
(2006年10月21日〜12月24日)
過去5年にわたって描いてきたものの中から、
新作も交えて展示する予定です。

○もの
美術館に新旧交えて作品が飾られるなんて、凄いですね〜!
タロウモリモトの時代がやってきたかな?
府中での展示、とても楽しみにしています。
作品、制作中のご様子ですが、体調を崩さずに頑張ってくださいね。

●森本
ありがとうございます!
新作は大きめのサイズに挑戦しています。
元はほんの数センチほどのイメージだったものがコンピューターで加工され、
キャンバスに拡大されていくとどう見えてくるか。
自分でも完成がたのしみです。

○もの
芸術的エネルギーによるドットの増殖!
というイメージを受けましたが、如何でしょう。
作者の意図や制作の過程を知っていると、
作品の見え方がまた違ってくるでしょうね。
対談を通した後、作品をどのように感じるか、わたしもとても楽しみです。

長い時間、どうも有難うございました。
多くのお話が聞けて、大変面白く、興味深かったです。

これからもどうぞ良い作品を作り続けてくださいね。
ご活躍をお祈りしています。



s-IMGP5105.jpg


********************************************

如何でしたかっ。
まだまだ聞き足りない感じがするけれど、
産み出すヒトは常に模索・深慮・深求しているのだ
というのが伝わってきたように思います。
常に考えるというのは、大変な労力だと思うんですよ。
精神的に疲れる事が多いんじゃないかな。
でも、だからこそ、人とは違う何かが作品に宿るのでしょうね。

府中での作品、頑張って制作中のご様子。
是非、足をお運びくださいね!

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